90年代以降のインドの経済成長は、コンピューターやインターネットの分野が大きな役割を果たしたといえます。世界的にインターネットを活用した事業が主流となり、そこにインド科学大学院やインド工科大学など、国内に高度な教育機関があったことが時流に合ったのです。また、インドの公用語はヒンディー語と英語のため、言語の点で外国人と交流しやすかったのも影響しています。インドに拠点を設置するIT企業が多くありますが、一定の技術を持つインド人のエンジニアは、高い報酬を求めてアメリカなど海外へ渡る例が見られます。来日するインド人エンジニアも少なくありません。彼らが担当する業務は幅が広く、半導体の設計から会計システムの構築など、いわゆるIT分野であればほぼ全ての領域で活躍しているといえます。

原則として、IT系の業務はコンピューターとインターネット環境があれば仕事の遂行が可能な例が多いため、海外企業に所属していても、生活の拠点はインドに置いたままの人も少なくありません。日常的なスタッフ間の連絡はメールやビデオチャットで大きな不足はないのです。逆に、あえてインドで仕事をさせる企業もあります。企業の本国とインドの時差を利用して、プロダクトを休みなく開発させたり、顧客への24時間サポートを実現したりするのです。インドにはヒンドゥー教徒が多いため、宗教上の生活様式から、生活の拠点を移さずに海外企業で働けることを好むインド人もいます。